内科・呼吸器科・アレルギー科 盛岡市 ゆい内科呼吸器科クリニック

禁煙

2016年4月の診療報酬改定で禁煙治療の対象者が拡大されたようですが、治療はどういう方が受けられるのでしょうか。
2006年4月の医療保険の改正により、それまで自由診療で全額自己負担であった禁煙診療が、他の病気と同じように保険診療で受けられるようになりました。さらに2016年4月からはニコチン依存症と診断されれば、喫煙本数や年齢にほぼ関係なく禁煙治療が受けられるようになりました。ただ医療機関としては、構内禁煙など国が定めるニコチン依存症治療の施設基準を満たしているところに限りますので、医療機関を受診される前に確認する必要があります。
日本の喫煙率は低下していますか
成人の喫煙率は、次第に低下傾向にはありますが、平成25年の厚生労働省国民健康栄養調査では男性で32.2%、女性で8.2%、全体で19.3%です。成人男性は10年前が50%でしたから、かなり減少していますが、先進諸国と比べるとまだ高いレベルです。
公共施設での禁煙や職場での分煙が進んできている割には高い数字ですね。
行政も近年、健康増進法やたばこ規制条約批准など禁煙推進を行っていますが、今のところ罰則などの拘束力はなく、かつてのタバコ産業推進を国策としてきた体質から完全に脱却できていないようです。従って、禁煙推進のためには「タバコは嗜好品ではなく病気を引き起こし、寿命を縮める依存性物質である」という個々の意識改革が大事だと思います。
喫煙関連疾患について教えてください
タバコの有害物質は、おおまかにニコチン、タール、一酸化炭素の3つですが、いずれも多くの病気の原因となります。例をあげると、肺がん、喉頭がんなどの悪性腫瘍、肺気腫などの呼吸器疾患、心筋梗塞などの循環器疾患、他にも脳卒中、動脈硬化症、歯周病など、全身多岐にわたる病気と関連があります。これらの事実は、諸外国ではタバコのラベルにしっかりと記載されています。
病気以外にも体に影響はありますか
病気以外では肌荒れやしみなどの美容上の問題やエイジングにも関係しています。こういった個人レベルの問題のほかに、最近取りざたされていることは、受動喫煙による周囲の人への影響です。ヘビースモーカーの妻は非喫煙者と比べ肺がんになる危険が約2倍といわれます。また家族に妊婦や子供がいる場合は、胎児や子供の発育を遅らせます。喫煙は個人の嗜好といいつつも、知らず知らずに他人を巻き込んでいるのです。

禁煙治療の実際について

「タバコはなかなかやめられない」とよく耳にしますが、これはどうしてなのでしょうか。
タバコをやめられない最大の原因は、ニコチン依存症という病気の側面があるからで
す。ニコチンは脳に作用し適度の興奮や鎮静をもたらします。この心地よい感覚を求めてタバコを吸い続けるわけです。病気である以上、禁煙には適切な治療が必要です。
治療法にはどういうものがありますか。
現在、治療としてニコチン代替療法というものがあります。ニコチン製剤を用いますが、医療機関から処方されるニコチンパッチすなわち貼り薬の場合、おなかなどの皮膚などに貼ることによりニコチンが徐々に吸収され、普段タバコから摂取されるニコチンの代わりとなります。この薬により「ニコチン切れ」に伴う苦しさ・イライラ・手のしびれなどの禁断症状を抑えることができます。ニコチン依存症治療には不可欠の治療薬であり、これを用いると、禁煙成功率も格段にアップするといわれています。
実際の禁煙治療はどのように行われるのでしょうか
日本肺癌学会などから出されている「禁煙治療のための標準手順書」にしたがって、3ヶ月の間、2週おきに5回の受診が必要です。最初の約2ヶ月間は毎日ニコチンパッチを貼っていただきます。ニコチン依存症の程度、離脱症状によりニコチン含有量を徐々に減らしていきます。受診のたびに、禁煙実行、継続に向けてのアドバイスと呼気一酸化炭素濃度の測定を行います。
ニコチンパッチを貼っていれば、タバコは吸いたくならないのでしょうか。
いいえ、ニコチン依存度の強い方ほど、吸いたくなることが多く、禁断症状の強い最初の4週間はニコチン含有量の多い貼り薬をしっかり使い、その後2週間ごとに減量していけば、ニコチン依存症は克服できます。ただ、ニコチンパッチではニコチンによる身体的依存症はカバーできますが、もうひとつの習慣的依存症の状態は、気分転換や行動パターンの変更などにより対処していかなければなりません。
禁煙治療が終わった後の注意点は
ニコチンパッチによる治療終了時の禁煙成功率は約8割ですが、終了後、再喫煙する方も多く、半年経つと約5割に低下します。再喫煙はふとしたきっかけで始まることがあり、再喫煙しやすい飲み会やストレスのかかることはしばらく避けたほうがいいでしょう。
内服薬もあるそうですが、どういう人が使えますか。
バレニクリン(チャンピックス)という脳のニコチン受容体に結合しニコチン依存症を緩和する内服薬があります。ただし副作用として運転中に意識障害を起こしたケースが複数報告されており、治療期間中の3ヶ月間は運転できなくなりますので、使用できる人はごく限られます。
保険診療だと費用はどれくらいになるのでしょうか。
5回の禁煙治療費の合計が自己負担3割の方で、ニコチンパッチの場合、約1万3千円、バレニクリンの場合、約1万9千円です。一日一箱吸っている人は、3ヶ月で3万6千円ほどかかっていますから、禁煙が成功すれば、経済的負担も大分減ることになります。
禁煙のコツは何でしょうか。
治療に失敗したり再喫煙したりしても、相手はニコチン依存症という一筋縄ではいかない病気ですから、自分のためひいては周囲の人のためというモチベーションを保ちながら、何度もチャレンジし長期計画で禁煙達成するのもひとつの方法です。

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